年末年始のトルコ旅行を経て新年を迎える。
去年の正月にはまさか今年の新年をイスタンブールで迎えるなんて思ってもみなかった。
卒論のせいでどんよりしていた去年に比べれば、今年はかなり楽しく気楽な新年だったかもしれない。
しかし、3日までトルコにいて、テレビもなければスタジオの最終プレゼンが10日に控えていて追い込まれていたので全く正月気分が味わえなかった。
あの正月特有のふわふわだらだらした感じが自分の中で一年をリセットしていたんじゃないかと思ったり。
トルコから帰ってきてからは大掃除をする余裕もなく、ひたすら10日のプレゼンに向けて作業をしては寝て作業をしては寝てとというサイクルを繰り返す。全然時間がない。
そもそも卒業制作でもないのに新年早々に提出っていかれてる。
そしてうすうす感づいてはいたが、Sint-Lucas Brusselは設計の環境が最悪。製図室もなければ、50人ほどの学生が同じ日にプレゼンをしなければいけないのにプロッターも一台しかない。学校の近くの模型材料を売っている画材屋は正月休みで提出日前日まで閉まっている。
提出間際になればなるほどこの環境にいらいらさせられるし、日本の環境の素晴らしさを実感する。
2日連続で徹夜しようとしたら、いつの間にか意識が飛び、気づいたらベッドの端っこに座ってるという初めての経験を経てなんとか完成。
プレゼン当日。当日の準備時のみんなのそわそわ感とばたばた感は日本でもベルギーでも一緒。
時間がなくて模型が思うように完成しなかったのが残念。
パネルと模型の準備に手いっぱいで口頭発表はぶっつけでパネルの内容を説明したが、やはりしゃべる内容はそれはそれで整理しておくべきだった。不慣れな英語というのもあったし、先生の反応を聞くと自分の考えた建築の意図や魅力、従来のものとの違いを正確に伝えられたどうかは怪しい。システム的なことよりもっと人とのかかわりを中心に話せばよかった。
規模の大きなプロジェクトにしたので手が回らなかったが、人と建築との細かいかかわりがわかるような平面や断面の設計にも取り組みたかった。
6月のAUSMIP報告会までにもう少しバージョンアップさせたい。
他の人の作品も気になったのでパネルを見てみるも、パネルを見ただけではよくわからない。どうもパネルは口頭発表の時に補助的に用いるようなものとして扱われているような感じがする。そして先生たちもパネルを読む気はないんじゃないかという感じもする。
プログラムは図書館、カフェ、映画館、ギャラリーなどが多いが、それらのプログラムの必要性や必然性が語られずにいきなり出てくる。日本だったら例えば何か公共的なプログラムを入れようとしたらじゃあその建築における公共性とは何なのかみたいな話が始まるのに対し、先生たちもプログラムの内容に関してはスルー。
結局、建築単体の空間がどうなっているのかという話になり、都市スタジオという割には都市の中でのその建築の役割や意味というものの話が少なかったように思う。
模型に関しては、前評判では外国人の模型は雑と聞いていたが、本番模型となるときれいでうまいものが多くて意外だった。
日本での前期スタジオが圧倒的に密度の濃いものだったからかもしれないが、このスタジオは何か全体を通して釈然としない感じがあった。
スタジオの問題設定がMIDI駅周辺は問題の多いエリアなので改善してくださいぐらいの緩いものなので、先生たちの求めるものがよくわからない。本当に何でもありなので、一つのテーマをそれぞれの作品で比較しながら捉え方の違いによって議論することもできない。だから人の発表を聞いても自分のプロジェクトを再考したり深化していくのに参考になることが少ない。
スタジオの流れとしては大体、リサーチ4週、グループプロポーザル4週、個人設計4週という感じだったが、最終プレゼンをグループでやることもなく、これらのプロセスのばらばら感が否めない。実際、自分たちのグループは全員リサーチとグループプロポーザルには一切触れず。あのグループ作業に費やした時間は何だったのか。
今まではエスキスに行けば自分の根本的な考えの未熟さや浅はかさを思い知らされて、次の段階に進んでいくような感覚が何度もあったが、今回に限っては自分の考えに対する感想はinterestingというもののみで、まだ計画していないところの進め方のアドバイスがあるくらい。なのでエスキスの中で先生たちの設計や建築に対する思想を知れたり、思いもよらぬ指摘を得られなかったのは残念。
もっと基本的なコンセプトについて食いついてもらえるような説明をすべきだったのかもしれない。
レポートが2つ残っているものの、なにはともあれスタジオが終わったのでこれからのことを考えないといけない。
この留学、なんと都合がいいことに2nd Semesterは必ずしも授業をとらなくていいので、残りの5,6ヶ月が完全にフリー。
とりあえず3月にインターンがほぼ決まったのでそのためのポートフォリオづくりとどんどん旅行の計画を立てていかなければいけない。どうせだからヨーロッパの国全部行ってみたい。
英語は到着時に比べたらだいぶましになった感じはするが、学校に行かなくなったら英語を使う機会がだいぶ減ってしまう…。油断してたらまただめになりそうなので、時間もできたし英語の勉強もしていきたい。
2012-01-11
2012-01-03
イスタンブール(2011/12/31 - 2012/1/3)
カッパドキアからイスタンブールへと移動。飛行機で1時間くらい。
1日目(2011/12/31)
空港が市内から離れたところだったのでバスで移動。
高速道路を中心部に向かって走るが郊外には斜面に中層の集合住宅がびっしり並んでいる。
アジア的な高密度。そして思っていたよりかなり都会。
旧市街地に到着しぶらぶらする。ヨーロッパ的な雰囲気はあまり感じられない。
そしてこの日は大みそか。
カウントダウンイベント的なものを探して暗くなった街をさまよう。
ブルーモスクのライトアップはかなりきれい。
花火と太鼓でお祭り騒ぎを繰り出す若者集団。
この様子だとカウントダウンはさぞ盛り上がるのだろうと思っていたが、夜が更けるにつれて旧市街地はどんどんひっそりとしていき、全く人が集まりそうな気配がない…。
まさかトルコまで来てしっぽり年を越すことになるかもしれないという危機感を感じながらさまよっていると、胡散臭い集団から声をかけられ、イベントは新市街地でやるとの情報をゲット。
トラムと地下鉄を乗り継ぎ新市街地のタクシン広場へ。
確かにすごい人が集まっている。
しかし、一斉にカウントダウンという感じではなく、各々が12時を回ったと思ったタイミングで騒ぎ始める。
そしてこんな感じに。
かなり遠くの方ではあったが花火が上がっているのは見えたし、何よりトルコ人たちのエネルギーを肌で感じることができたので来たかいがあった。
2日目(2012/1/1)
元旦ではあるがストイックに観光に出かける。イスラム圏なのでクリスマス休暇はなく、1日から多くの施設があいているのがありがたい。
旧市街地の見どころをまわることに。
まずは地下宮殿へ。
宮殿といわれているが東ローマ帝国の貯水池らしい。
今も床には水がたまっていて、その上に掛けられたブリッジを歩いて見学する。
336本の柱があるらしいが、装飾のあるものとないものや、かなり大きくひびが入ってるもの、補修されたり新しいものに取り換えられたりしているものも多く、様々な柱がある。
中にはこんな気持ち悪いものや、
メデューサの石像を土台にしたものも。
水の中にはけっこうたくさんの魚が泳いでいる。
アヤ・ソフィア大聖堂へ。
建築史にも出てくるビザンチン建築の最高傑作。
もとは東ローマ帝国時代のキリスト教の大聖堂だったが、後にオスマン帝国に支配された際、その歴史と威容から、ミナレットを付与されてモスクに転用されたらしい。
今まで行った大聖堂の中で最も古いということもあり、かなり歴史を感じる。
列柱で空間は分割されているものの、ドームを中心とする空間がかなり大きいのでそっちの印象の方が大きく、巨大な一室空間という感じ。
ドームを支える柱には円形の巨大な壁かけのようなものがかかっているし、今まで見てきた大聖堂とはかなり異質。
大理石のパターンや色見の違いを装飾に用いているのが面白い。
柱頭の装飾も初めてみるもの。
礼拝のための道具もイスラム教のものなので新鮮なものばかり。
大聖堂の中に野良猫。この組み合わせも初。
このドームからつり下がっている照明も面白い。地面から2.5mくらいのところにあるのだが、これがたくさんあることによって巨大すぎる空間が人間的なスケールになじんで落ち着けるような感じがする。
隅にあるスロープを上って2階のテラスのようなところにも行ける。
テラスは1階の大空間を囲んでいて、展示スペースとして使われていた。
上から見るとやはりすごい迫力。
アヤ・ソフィアを後に、今度は向かいにあるスルタンアフメトモスク、通称ブルー・モスクへ。
この2つは隣り合って建っているのだが、アヤ・ソフィアに比べてブルーモスクの方が外観にまとまりがある。
靴を脱いで礼拝するイスラム教ならではの光景。
こちらは純粋なモスクで、前庭の空間があり、6本のミナレットがある。
この中央に見えるミナレットから礼拝の合図であるアザーンという呼びかけが一日に五回流れるらしい。
イスタンブールでも何回か聞いたが、異国感が半端じゃない。
内部は靴を脱いで上がるため、日本の寺社を見学するときの感覚を思い出す。
ブルーモスクと呼ばれる所以は青く美しい装飾タイルやステンドグラス。
こんな美しい空間はなかなか経験できない。
ゴシック教会のような彫刻による装飾ではなく、ドームやアーチの曲面を平面的な装飾が覆っていて、さらに白を基調とした青い模様と外光が相まって、空間全体がやわらかくふわふわした印象。
あまり目立たないが彫刻的装飾も。
キリスト教と違って厳格に偶像崇拝が禁止されているというだけで、祈りのための空間がここまで異なるのかということに驚く。
絨毯も寺社や教会にない要素。横縞がはいっていて、正確な機能はわからないがムスリムの人たちが祈るときにはこの縞にひざまづいて礼拝をしている気がする。
ここでなら数時間ボーッとしていれそうな気がする。
周辺を散策。
旧市街地は高台にあって、下っていくと割とすぐに海岸線に突き当たる。
この海岸線と高台の高低差が結構あって、両者をつなぐ坂道も多い。
坂道に沿ったお店の席。右端の席の後ろに置いてあるビンのようなものは水タバコ。よく水タバコ屋のようなところで座って吸っている人を見かける。
暗くなってから海沿いに行ってみる。
海岸からでもモスクは目立つ。
イスタンブールはボスポラス海峡をはさんでヨーロッパ側とアジア側に分かれており、港からはそれらをつなぐ定期船が出ている。
金角湾上にかかる旧市街と新市街を結ぶガラタ橋の上には、つりざおを貸したり、えさを売ったりする人がいてなぜか釣り堀のようになっている。
新市街側に渡り、ガラタ塔のふもとまで行ってみる。
このガラタ塔、もとは灯台や見張り台だったらしく、今も展望台に登れる。閉まっていたので明日行くことに。
ホステルに引き返す。
泊まっていたホステルのあるストリート。ここはアヤ=ソフィア大聖堂のすぐ近くでレストランが並ぶ観光街なのだが、トルコ人のお決まりのHey! My friend! でよく客引きされる。
カッパドキアの人たちのMy friend!には善意を感じたが、こっちのトルコ人たちには下心しか感じない。泊まっていたホステルのオーナーもあくどい商売人のような奴だったし、かなり気分を害される。カッパドキアの人たちを見習うべき。
3日目(2012/1/2)
市街地の露店珍しい食べ物が売っている。そして物価が安い。
肉そぼろをパイ生地で包んだもの。
他にも、ケバブ、シナモンの甘い飲物、チャーハン的なもの、アジサンドなど。
公園で食べていると寄ってくる。
イスタンブール市内にもトラムが走っている。狭い道では接触しそうになるくらいギリギリなところを走る。
グランドバザールを見に行く。
入口が見つからずさまよっているとそれっぽいエリアを発見。
いかにもトルコといった内装。
そしてついに入口を発見。
グランドバザールはアーチ状の屋内空間。
ここはほぼ観光地化されていて土産屋が多い。ストリートの上部には液晶モニターなんていう現代的なものも設置されている。
土産屋といっても、見たことのないようなものばかりなので面白い。
雑多で光りものが多い。
ストリートによってつくりや雰囲気が違う。
日本人観光客が多いのか、適当な日本語で客引きしてくる奴も多い
かなり小さな中庭があって、外部空間はここだけ。
バザールを後にして今日もモスクを見に行く。
オスマン建築の最高傑作といわれるスレイマニエモスク。設計はオスマン帝国最高の建築家ミマール・スィナンだそう。
たいそうな前評判だが、ここはこれまで見たところと違って、庭園や墓地、学校、宿泊所なども含めた複合施設として設計されている。
見学できるのはモスクだけ。入口にはブルー・モスクで見たのと同じような装飾が。イスラムのモスクに特有なものなのだろうか。
モスクには基本的にこの照明が備えられているようだが、キリスト教大聖堂のような神々しさを表現するのならばない方が大空間特有の神聖さが際立つような気もする。神がいるのは唯一メッカだけでイスラムの礼拝の空間にそのような神々しさは必要ないのだろうか。
ここはブルーモスクとは違ってすっきりと明快な感じ。
ここに来て初めて気付いたが、モスクには主となる礼拝の場のほかに、端にこのような小さな礼拝の空間がある。そこにいるのはベールをまとった女性だけで、そういえば主となる場所で礼拝をしているのは男性だけ。宗教的な慣習とはいえ、現代においてもここまで露骨な男女差別が行われていることを目の当たりにするとなかなか衝撃。
野良猫の戯れに通行人たちは心を奪われる。
昨日いけなかったガラタ塔へ向かう。
モスクに近いストリートは活気があり、観光地ではない地元の人たちの生活感が感じられて面白い。
海辺に出る途中にスパイスバザールというバザールを通る。
こちらも観光地化されているが、売っているものはスパイスやお菓子といったものが多い気がする。
さらにまた途中にモスクを見つける。
もはやぱっと見外観の違いはよくわからない…。
が、よく見るとこれは庇のようなものが付いてるし、基壇が高い。
見えてきたガラタ塔。
塔が丘の頂上に立っていてその周りを中層建物がびっしり囲っている。
建物はけっこう古いし弱そう。
そしてこの居住密度。街並みを見ているとトルコは地震があるのに大丈夫なのだろうかと不安になる。
丘まで登る。道が狭いのに沿道建物が高い。
坂道は直線じゃなくてわかりにくいが面白い。周りにはたまにおしゃれな店もある。
展望台から。
ボスポラス海峡。
金角湾。
旧市街側には4つのモスクが並んで見える。
イスタンブール、でかい。
ほぼイスタンブールについて調べずにきたが、さすが長い歴史を持つだけあって、人口は1300万人を超える世界屈指の大都市らしい。
旧市街地に戻り、トプカプ宮殿へ。
宮殿のある高台まで登り到着。
人も多いし疲労も限界に達していたのでふらっと散策。
床の模様が面白い。
ところどころの壁面に施されたタイル装飾がどれも美しい。
きれいな大理石を使った贅沢なテラス。そしてここからは各海峡や市街地を一望できてさらに贅沢。
王の休暇小屋のようなものもいくつかあって、快適そうな窓辺の空間が設けられている。
ゴザが敷いてあるところも。
宮殿だけあってどこも華美。
定期船に乗ってボスポラス海峡を渡ってみることに。
ちょうど日が暮れ始める。
新市街側には高層ビルも多そう。
イスタンブールの地形が海面との高低差の大きい半島であることがよくわかる。
アジア側に到着。そしてすぐヨーロッパ側に帰還。
イスタンブールはかなり大きい都市でとても2日間では見きれない。今回は旧市街地しか見れなかったが、また機会があれば新市街、アジア側、高層ビル地区、郊外など行ってみたいところがまだたくさんある。
日本に住んでいると、多少なりともキリスト教的なものだったり、西欧的なものだったりに触れる機会はあるが、今回トルコで見たイスラム的なものであったりアラブ的なものであったりといったものは日本には皆無。だからこそ今回のイスタンブールでは、初めてヨーロッパに来た時以上の新鮮さを感じたような気がする。
イスタンブールはヨーロッパ的でもあり、アジア的でもあり、アラブ的でもある気がする。まだまだこの文化が混在したようなものはたくさんありそうだし、街を歩いていると歴史的な古さを感じる。
とにかく、イスタンブールにまだまだ興味をひかれるし、面白いことがたくさんありそうなのでまたぜひ来たい。
1日目(2011/12/31)
空港が市内から離れたところだったのでバスで移動。
高速道路を中心部に向かって走るが郊外には斜面に中層の集合住宅がびっしり並んでいる。
アジア的な高密度。そして思っていたよりかなり都会。
旧市街地に到着しぶらぶらする。ヨーロッパ的な雰囲気はあまり感じられない。
そしてこの日は大みそか。
カウントダウンイベント的なものを探して暗くなった街をさまよう。
ブルーモスクのライトアップはかなりきれい。
花火と太鼓でお祭り騒ぎを繰り出す若者集団。
この様子だとカウントダウンはさぞ盛り上がるのだろうと思っていたが、夜が更けるにつれて旧市街地はどんどんひっそりとしていき、全く人が集まりそうな気配がない…。
まさかトルコまで来てしっぽり年を越すことになるかもしれないという危機感を感じながらさまよっていると、胡散臭い集団から声をかけられ、イベントは新市街地でやるとの情報をゲット。
トラムと地下鉄を乗り継ぎ新市街地のタクシン広場へ。
確かにすごい人が集まっている。
しかし、一斉にカウントダウンという感じではなく、各々が12時を回ったと思ったタイミングで騒ぎ始める。
そしてこんな感じに。
かなり遠くの方ではあったが花火が上がっているのは見えたし、何よりトルコ人たちのエネルギーを肌で感じることができたので来たかいがあった。
2日目(2012/1/1)
元旦ではあるがストイックに観光に出かける。イスラム圏なのでクリスマス休暇はなく、1日から多くの施設があいているのがありがたい。
旧市街地の見どころをまわることに。
まずは地下宮殿へ。
宮殿といわれているが東ローマ帝国の貯水池らしい。
今も床には水がたまっていて、その上に掛けられたブリッジを歩いて見学する。
336本の柱があるらしいが、装飾のあるものとないものや、かなり大きくひびが入ってるもの、補修されたり新しいものに取り換えられたりしているものも多く、様々な柱がある。
中にはこんな気持ち悪いものや、
メデューサの石像を土台にしたものも。
水の中にはけっこうたくさんの魚が泳いでいる。
アヤ・ソフィア大聖堂へ。
建築史にも出てくるビザンチン建築の最高傑作。
もとは東ローマ帝国時代のキリスト教の大聖堂だったが、後にオスマン帝国に支配された際、その歴史と威容から、ミナレットを付与されてモスクに転用されたらしい。
今まで行った大聖堂の中で最も古いということもあり、かなり歴史を感じる。
列柱で空間は分割されているものの、ドームを中心とする空間がかなり大きいのでそっちの印象の方が大きく、巨大な一室空間という感じ。
ドームを支える柱には円形の巨大な壁かけのようなものがかかっているし、今まで見てきた大聖堂とはかなり異質。
大理石のパターンや色見の違いを装飾に用いているのが面白い。
柱頭の装飾も初めてみるもの。
礼拝のための道具もイスラム教のものなので新鮮なものばかり。
大聖堂の中に野良猫。この組み合わせも初。
このドームからつり下がっている照明も面白い。地面から2.5mくらいのところにあるのだが、これがたくさんあることによって巨大すぎる空間が人間的なスケールになじんで落ち着けるような感じがする。
隅にあるスロープを上って2階のテラスのようなところにも行ける。
テラスは1階の大空間を囲んでいて、展示スペースとして使われていた。
上から見るとやはりすごい迫力。
アヤ・ソフィアを後に、今度は向かいにあるスルタンアフメトモスク、通称ブルー・モスクへ。
この2つは隣り合って建っているのだが、アヤ・ソフィアに比べてブルーモスクの方が外観にまとまりがある。
靴を脱いで礼拝するイスラム教ならではの光景。
こちらは純粋なモスクで、前庭の空間があり、6本のミナレットがある。
この中央に見えるミナレットから礼拝の合図であるアザーンという呼びかけが一日に五回流れるらしい。
イスタンブールでも何回か聞いたが、異国感が半端じゃない。
内部は靴を脱いで上がるため、日本の寺社を見学するときの感覚を思い出す。
ブルーモスクと呼ばれる所以は青く美しい装飾タイルやステンドグラス。
こんな美しい空間はなかなか経験できない。
ゴシック教会のような彫刻による装飾ではなく、ドームやアーチの曲面を平面的な装飾が覆っていて、さらに白を基調とした青い模様と外光が相まって、空間全体がやわらかくふわふわした印象。
あまり目立たないが彫刻的装飾も。
キリスト教と違って厳格に偶像崇拝が禁止されているというだけで、祈りのための空間がここまで異なるのかということに驚く。
絨毯も寺社や教会にない要素。横縞がはいっていて、正確な機能はわからないがムスリムの人たちが祈るときにはこの縞にひざまづいて礼拝をしている気がする。
ここでなら数時間ボーッとしていれそうな気がする。
周辺を散策。
旧市街地は高台にあって、下っていくと割とすぐに海岸線に突き当たる。
この海岸線と高台の高低差が結構あって、両者をつなぐ坂道も多い。
坂道に沿ったお店の席。右端の席の後ろに置いてあるビンのようなものは水タバコ。よく水タバコ屋のようなところで座って吸っている人を見かける。
暗くなってから海沿いに行ってみる。
海岸からでもモスクは目立つ。
イスタンブールはボスポラス海峡をはさんでヨーロッパ側とアジア側に分かれており、港からはそれらをつなぐ定期船が出ている。
金角湾上にかかる旧市街と新市街を結ぶガラタ橋の上には、つりざおを貸したり、えさを売ったりする人がいてなぜか釣り堀のようになっている。
新市街側に渡り、ガラタ塔のふもとまで行ってみる。
このガラタ塔、もとは灯台や見張り台だったらしく、今も展望台に登れる。閉まっていたので明日行くことに。
ホステルに引き返す。
泊まっていたホステルのあるストリート。ここはアヤ=ソフィア大聖堂のすぐ近くでレストランが並ぶ観光街なのだが、トルコ人のお決まりのHey! My friend! でよく客引きされる。
カッパドキアの人たちのMy friend!には善意を感じたが、こっちのトルコ人たちには下心しか感じない。泊まっていたホステルのオーナーもあくどい商売人のような奴だったし、かなり気分を害される。カッパドキアの人たちを見習うべき。
3日目(2012/1/2)
市街地の露店珍しい食べ物が売っている。そして物価が安い。
肉そぼろをパイ生地で包んだもの。
他にも、ケバブ、シナモンの甘い飲物、チャーハン的なもの、アジサンドなど。
公園で食べていると寄ってくる。
イスタンブール市内にもトラムが走っている。狭い道では接触しそうになるくらいギリギリなところを走る。
グランドバザールを見に行く。
入口が見つからずさまよっているとそれっぽいエリアを発見。
いかにもトルコといった内装。
そしてついに入口を発見。
グランドバザールはアーチ状の屋内空間。
ここはほぼ観光地化されていて土産屋が多い。ストリートの上部には液晶モニターなんていう現代的なものも設置されている。
土産屋といっても、見たことのないようなものばかりなので面白い。
雑多で光りものが多い。
ストリートによってつくりや雰囲気が違う。
日本人観光客が多いのか、適当な日本語で客引きしてくる奴も多い
かなり小さな中庭があって、外部空間はここだけ。
バザールを後にして今日もモスクを見に行く。
オスマン建築の最高傑作といわれるスレイマニエモスク。設計はオスマン帝国最高の建築家ミマール・スィナンだそう。
たいそうな前評判だが、ここはこれまで見たところと違って、庭園や墓地、学校、宿泊所なども含めた複合施設として設計されている。
見学できるのはモスクだけ。入口にはブルー・モスクで見たのと同じような装飾が。イスラムのモスクに特有なものなのだろうか。
モスクには基本的にこの照明が備えられているようだが、キリスト教大聖堂のような神々しさを表現するのならばない方が大空間特有の神聖さが際立つような気もする。神がいるのは唯一メッカだけでイスラムの礼拝の空間にそのような神々しさは必要ないのだろうか。
ここはブルーモスクとは違ってすっきりと明快な感じ。
ここに来て初めて気付いたが、モスクには主となる礼拝の場のほかに、端にこのような小さな礼拝の空間がある。そこにいるのはベールをまとった女性だけで、そういえば主となる場所で礼拝をしているのは男性だけ。宗教的な慣習とはいえ、現代においてもここまで露骨な男女差別が行われていることを目の当たりにするとなかなか衝撃。
野良猫の戯れに通行人たちは心を奪われる。
昨日いけなかったガラタ塔へ向かう。
モスクに近いストリートは活気があり、観光地ではない地元の人たちの生活感が感じられて面白い。
海辺に出る途中にスパイスバザールというバザールを通る。
こちらも観光地化されているが、売っているものはスパイスやお菓子といったものが多い気がする。
さらにまた途中にモスクを見つける。
もはやぱっと見外観の違いはよくわからない…。
が、よく見るとこれは庇のようなものが付いてるし、基壇が高い。
見えてきたガラタ塔。
塔が丘の頂上に立っていてその周りを中層建物がびっしり囲っている。
建物はけっこう古いし弱そう。
そしてこの居住密度。街並みを見ているとトルコは地震があるのに大丈夫なのだろうかと不安になる。
丘まで登る。道が狭いのに沿道建物が高い。
坂道は直線じゃなくてわかりにくいが面白い。周りにはたまにおしゃれな店もある。
展望台から。
ボスポラス海峡。
金角湾。
旧市街側には4つのモスクが並んで見える。
イスタンブール、でかい。
ほぼイスタンブールについて調べずにきたが、さすが長い歴史を持つだけあって、人口は1300万人を超える世界屈指の大都市らしい。
旧市街地に戻り、トプカプ宮殿へ。
宮殿のある高台まで登り到着。
人も多いし疲労も限界に達していたのでふらっと散策。
床の模様が面白い。
ところどころの壁面に施されたタイル装飾がどれも美しい。
きれいな大理石を使った贅沢なテラス。そしてここからは各海峡や市街地を一望できてさらに贅沢。
王の休暇小屋のようなものもいくつかあって、快適そうな窓辺の空間が設けられている。
ゴザが敷いてあるところも。
宮殿だけあってどこも華美。
定期船に乗ってボスポラス海峡を渡ってみることに。
ちょうど日が暮れ始める。
新市街側には高層ビルも多そう。
イスタンブールの地形が海面との高低差の大きい半島であることがよくわかる。
アジア側に到着。そしてすぐヨーロッパ側に帰還。
イスタンブールはかなり大きい都市でとても2日間では見きれない。今回は旧市街地しか見れなかったが、また機会があれば新市街、アジア側、高層ビル地区、郊外など行ってみたいところがまだたくさんある。
日本に住んでいると、多少なりともキリスト教的なものだったり、西欧的なものだったりに触れる機会はあるが、今回トルコで見たイスラム的なものであったりアラブ的なものであったりといったものは日本には皆無。だからこそ今回のイスタンブールでは、初めてヨーロッパに来た時以上の新鮮さを感じたような気がする。
イスタンブールはヨーロッパ的でもあり、アジア的でもあり、アラブ的でもある気がする。まだまだこの文化が混在したようなものはたくさんありそうだし、街を歩いていると歴史的な古さを感じる。
とにかく、イスタンブールにまだまだ興味をひかれるし、面白いことがたくさんありそうなのでまたぜひ来たい。
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