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2012-04-20

イタリア② ベネチア (2012/4/10-2012/4/12)

ベネチア

ベネチアはアドリア海に浮かぶ島々からなる都市。
海の上を線路が都市の入り口まで続いて、海の上を電車が走っている感覚。
駅から出たら目の前にいきなり運河。

滞在していたジュデッカ島のホステルの目の前にも大きな運河。

翌日、本島へ。

街中に車は入ることができず、移動は全部船。

サン・マルコ広場。
船着き場から広場まで、今まで行ったどの都市よりも観光客が多い。



運河に面する広場とサン・マルコ寺院に面する広場がつながっていってL字型の大きな広場。

サン・マルコ寺院内部。

ドゥカーレ宮殿中庭。立ち入り禁止だったがコロネードの2階へと続く屋外階段は蹴上部分に装飾が施されていて立派で、初めて見る形式。

広場に面するコロネードにはブランド品のショップがたくさん。

その一角にあるのがこれ。
オリベッティショールーム(カルロ・スカルパ)
内装はカルロ・スカルパのデザイン。
建築学生は見学料は無料だが、写真撮影料はしっかりとられる…。

奥へと導くように、石材と対比的な木材によって奥行き方向の動線が強調されている。

階段は石材を様々な形で積み重ねたようなデザインでとても凝っている。

通りの面する窓の形も楕円のような形で面白い。

木製の奥の壁の格子状仕上げや壁の仕上げのつなぎのディテールは上下階を連続してつないでいる。

ため息橋。
ドゥカーレ宮殿と牢獄をつなぐ橋で、囚人が投獄される際、美しいベネチアの景色を最後に見れることのできる場所ということからこの名前がついたらしい。

サン・マルコ広場から街の奥へと入っていくと細い路地が張り巡らされた空間となる。
広場周辺にはたくさんのブランドショップや土産物屋。

土産物屋にはベネチアのカーニバルで使われる仮面や、ミルフィオリと呼ばれるきれいな模様の小物がたくさん売っていて、割と画一的な他の都市のみやげ物屋とは一味違う。

細い路地の間ににも細い運河が張り巡らされていて、小さなゴンドラが走っている。

張り巡らされた小さな運河には無数の橋がかかっていて、そこから見える水の路地の風景はとても面白い。

QUERINI STAMPALIA FOUNDATION (カルロ・スカルパ)
建物へ続く橋、地上階、中庭がスカルパによるデザイン。

前面の運河の水が建物内部まで引き込まれている。


ここのホールだけはマリオ・ボッタによるデザイン。

中庭。オリベッティの階段の石材と同じく、コンクリートを水平線垂直線を強調して構成。
そのギャップに水が流れる。

無機質なコンクリートに色のついたタイルを埋め込んでいたり、地面の舗装に装飾が施してあったり、ところどころ大理石が埋め込まれていたり、ため池や水路が装飾的であったりと、コンクリートによる空間構成と多様な素材、非装飾と装飾が絶妙なバランス。

そしてそこに緑が加わりとても美しい空間。



面白い形のドア。大理石でできていてとても重い。

完全に観光地かと思いきや、少し中心街を離れると庶民的な店舗や住宅も多く、住民の生活感を感じられるところも少なくない。

細い路地を歩いていくと開けた広場に出る。

今度は運河沿いの路地に入り歩いていくと、

また開けた広場に出る。
というように、大小いくつもの広場が細い路地で結ばれていて、そこに複雑に細い運河が絡んでいるというのがベネチアの基本的な街の構成。
ややこしいが、地図を見ると、運河と道の関係で意外と現在地が分かりやすかったりする。

路地の角にイコン。

広場はレストランの席が出ていたり市場をやっていたりするにぎやかなところもあれば、ひっそりと静かなところもあって個性的。



広場にはなぜか水道をよく見かける。

窓につけられた鉄細工が面白い。
運河沿いの建物はやはり街の顔となるので目立つファサードになっているのだろうか。

窓辺の植物がよくストリートまで溢れだしている。
ミラノのバルコニーもそうだが開口部をきれいな植物で飾ってストリートに華やかさを与えるというのはイタリアに文化なのだろうか。

カナル・グランデの河口。
ヨーロッパ各地に水の都とうたわれるところは数多くあるが、ベネチアほど水と都市が一体化しているところはない。


水の中にあるような都市なのに街中に意外と緑が多い。

アカデミア美術館
インテリアの一部をスカルパがデザインしたらしいが、さりげなさすぎてどこがそれなのかいまいちわからない。

受付カウンターの木製格子がそれっぽい。

PALAZZO FONDAZIONE MASIERI(カルロ・スカルパ)
運河側のファサードを残しつつもスカルパがデザインを手掛ける。彼の死後、コラボレーターにより完成させられたらしい。
この建物、ストリートから奥まったところにあってどこにあるのかとてもわかりずらい。調べた住所に行ってもそれらしきものは見当たらず、近くの建物の警備員のおじさんに聞くと案内してくれ、このインターホンを押せと言われる。そして今日は見学できないから明日来いと言われ、やっとの思いで中へ。

初めて運河沿いの普通の建物に入ることができたが、とても暗い。日中でも窓側以外はとても自然光じゃ生活できなさそうな暗さ。もしほとんどの建物の内部がこれくらいの暗さだったら、明るく日光にあふれる街路や広場にたくさんの人々が集う理由もわかる。

ファサードを残すためか、ファサードとスラブの間には隙間があり、両者は切り離されている。
カステル・ヴェッキオと同じく開口部にはスカルパのデザインと思われる窓がはめ込まれている。
ここの窓はすぐ外に運河が見えることや、デザイン自体もQUERINI STAMPALIA FOUNDATIONのものと似ている。

どうやら今は建築事務所として使われているらしい。


他のスカルパ作品同様、鉄、コンクリート、石と素材の組み合わせ方が面白い。

屋根裏。スカルパの空間は美術館やギャラリーはいいかもしれないが、オフィスのような生活感のあるプログラムとはマッチしていないような気がした。

AULA MARIO BARATTO RESTORATION
元は有力貴族の邸宅だったが、何度かの改修の末、今は大学として使われている。
中庭から3層目へと続く階段。元は2つある中庭の両方に設置されていたそうだが、現在残っているのはこちら側の片方だけ。

ここのスカルパによるインテリアデザインもさりげなくて分かりづらいが、今度はガイドさんがいたので教えてもらうことができた。
エントランスホールの照明、ベンチ、テーブルなどはスカルパのデザインで、天井の梁も元々あったものをスカルパが残して見せるように指示したらしい。

カナル・グランデのとりわけ広いところに面していて、ボートレースが開催されるときにはそのゴール地点となるらしい。

この大学周辺には学生っぽい人たちがたくさんいたが、こんなところにある大学に通えるなんてうらやましすぎる。

この講義室の前室のようなところもスカルパによるデザイン。この場所の機能がよくわからないが、元は講義室の座席があったがそれを撤去して作られたよう。素材はすべて木を組んでできており、講義室との間にある扉のようなものは開閉することができて、天井の装飾は運河の波をイメージして作られたらしい。

カナル・グランデにはいくつかの橋がかかっているが、その中の一つ、リアルト橋。

この橋、ただの橋ではなくいくつもの店舗と一体化していて運河へと続くストリートの延長となっている。

もちろん橋特有の運河中央からの視点で運河を臨むことができる。
橋のような土木構造物と建築物が融合していて面白い。

サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂
カナル・グランデ河口に立つひときわ目立つ教会。

内部。床の装飾パターンがきれい。

教会の脇道はなんかいい雰囲気。

プンタ・デラ・ドガーナ(安藤忠雄)
古い税関の建物を現代美術館へとリノベーション。
いつか安藤さんのドキュメンタリーを見てから、ヨーロッパで行きたかった作品の一つ。

河口の先端にはCharles RayのBoy with Frogという作品。


そこからはパラーディオのサン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂が見える。
反対側にはサン・マルコ広場があり、立地的にはまさにベネチアの顔。


内部では荒々しいレンガ壁と木の梁からなる元々の構造体に、無垢なコンクリートが対比的におかれることで何か空間が洗練されているような感じがする。

空間構成はあくまで税関当時のままでそこにコンクリートが挿入されているという感じ。



設計の際にスカルパを参考にしたと何かで読んだ気がするが、参考というか全く同じヴォキャブラリーが使われている。

ベネチアのもう一つの安藤さんのリノベーション作品、パラッツォ・グラッシは展示交換中で入れなかったのが残念。

IUAV'S MAIN GATE (カルロ・スカルパ)

段差をつけたり溝を掘ったりと、コンクリートによる装飾的造形が目立つ。

BRIDGE OVER CANAL (サンティアゴ・カラトラバ)
駅の近くのカナル・グランデにかかる。市街地の端にあるからまだいいものの、ベネチアにカラトラバはちょっとという感じもする。

子供は怖いもの知らず。

SPAZIO VEDOVA (レンゾ・ピアノ)
ジュデッカ棟に面するある一帯は昔の倉庫がリノベーションされて現代美術のギャラリーになっている。ここも新旧の対比が面白い。

サン・ミケーレ島
海の向こうに森が浮かんでいるように見えるこの島は、ベネチアの墓地らしい。今回はこの島に渡る時間がなかったが、ぜひ機会があれば行ってみたい。

住宅が水にとても近い。ここに住んでいる人たちは一家に一台車がある感覚で小さなモーターボートを持っていそう。

初めてみる荒々しいファサード。

塔が明らかに傾いている…。

サン・マルコ広場近くの船着き場。

サン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂(パラーディオ)
付属する棟には登ることができる。

プンタ・デラ・ドガーナ、サン・マルコ広場などベネチアの街を一望。

ジュデッカ島も一望。

ベネチアは今までいった中で一番といっていいほどの美しい都市。ヨーロッパ中の美術館に行くとベネチアをモチーフにした絵をよく見ので、昔から人々を魅了する美しい都市なんだろう。

ただ、ほぼ海の中にあるといってもいいようなような、かなり特殊な事例であることは確かで、この美しさを目指して都市をデザインすることはかなり難しそう。さらに車がいないため、現代的要素がリノベーションに限られ、街並みにおける歴史的な積層が中世で止まってしまっているんじゃないかとも思った。

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