一八日目
最後にとんでもなくめんどくさい模型をつくることになる。
日付が変わったころに終わり帰宅。
一九日目
明日からボスが2週間ほどアメリカへレクチャーをし周りに行くということで、全部のプロジェクトが今日見せられるようにということでみんな忙しくしていたらしい。
ミーティングではボスの行っていることが雰囲気でなんとなくわかる程度で細かいことは絶望的にわからない。自分の英語では全く仕事では使い物にならないと痛感。やはり、スケッチや何かである程度分かっても言葉がわからないと話にならない。建築の技能以前の問題がかなり大きい。
ということでどうやらこのプロジェクトの本当の〆切はまだもう少し先らしい。
ずっとコンペだと思っていたが、よく聞くとトルコのAdanaという都市のフットボールスタジアム開発権をデベロッパーが競い合っていて、そのうちの一つのデベロッパーと組んでやっているいわゆるプロポーザルというやつらしい。
別のプロジェクトが差し迫っているので今日でこのプロジェクトは一時中断し、自分以外の2人は別の方移り、自分は引き続き模型を作り続けることになる。
二十日目
ひたすら模型に緑の棒を置き続ける。
仕事終わりにベルギー人と飲みに行くことに。
その人の住んでいるAlbertというブリュッセル南駅のさらに南の方まで付いていく。
南駅辺りはあまり雰囲気が良くないが、そのさらに南まで行くと意外ときれいなところがあって驚く。
こちらではポートフォリオをつくるとき、インターン経験というのが重要らしく、学校の課題だけでは相手にされないこともあるらしい。インターン先でかかわったプロジェクトで自分が何をしたのかということをポートフォリオに盛り込むべきだと強く勧められる。
日本ではあまりそういうことを聞いたことがないが、確かにそれをやったら他の人とも差がついて面白そう。
二十一日目
サマータイムが始まって一気に日が長くなる。夜8時くらいでもまだ明るい。
夕暮れ時の1時間が早まるだけでだいぶ時間の感覚がおかしくなる。
前から気になっていたトルコ文化の水タバコ Sisha に挑戦。
煙はアップル、ストロベリーなどの果物系で甘い香り。
それと同時に甘いミントティーを飲むのが流儀らしい。
あまりにも甘ったるい上、煙を吸い過ぎて酸欠で気持ち悪くなる。
JDSのブリュッセルオフィスは6月くらいにフランスでのプロジェクトが終わったら、仕事がなくなるので閉鎖もしくは規模縮小されるらしい。
全く先が見えない働き方だなと恐ろしくなる。
二十二日目
インターン最終日。
一週目を振り返ると昨日のようで本当にあっという間。
きつくて早く終わってほしいと思っていたが、いざ最終日となると寂しくなる。
とはいえこれ以上無給かつ無休で働くなんて考えられないが。
模型のテクニックやAutocadの使い方、プロジェクトの進む様子、JDSの建築的思考など、建築の技能の面で勉強になることは多かったが、それ以上に建築の世界で働くということについて現実味を持って考えさせられたインターンだった。
働き始めると自分で自由に勉強したり、考えたりする時間は圧倒的に少なくなるし、時には食べる、寝るといった
基本的な生活まで脅かされる。
その対価として自分が得られるものが経験とお金なんだろうが、このバランスがかなり難しい。
最後ということでJDSのプロジェクトブックをもらう。
この本にのっているプロジェクトの9割以上はアイデアで実作は数えるほどしかない。
とはいっても、ボスはまだ30代で建築家としてはかなり若く、それなのに、コペンハーゲンを中心として、ブリュッセルや上海など世界中に事務所を持ち、このアイデアの多さというのにはとてつもないエネルギーを感じる。
今はアイデアを売ることが業務の中心で、なにか実体がないような気もするが、今後実際に建てていくことが増えてきたときにどうなるのかがとても楽しみな事務所だと思った。
インターンが終わって一気にこの留学生活にも終わりが見え始めてきた気がする。
これからはヨーロッパ中を旅する予定。
3,4カ月もの間完全に時間をフリーに使えるというのは初めてかもしれないので有効に使いたい。
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