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2011-12-25

十一週目(12/4-12/10)

スタジオ二回目のスタディビジットでルーヴェンに行く。
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ルーヴェンにはルーヴェン・カトリック大学という大きな大学があって、人口の大部分を学生が占めているらしい。

駅前には新しくて高層の建物が立ち並んでいる。
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すごい飛び出し。

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こっちの建物は地震がないからか、なんでもない建物でも飛びださせているものが多い気がする。

その中の一つの、行政機関のオフィスビルらしきものを見学。
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裏庭の水盤と階段と庭のデザインが線路と調和しててきれいだった。

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地盤が凍ったり溶けたりして動いたため、コンクリートの接合部にひびが入って雨漏りしているらしい。
ガイドの人に、地震があるから地盤が動くということを想定して設計している日本じゃあり得ないよねといわれる。

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ベランダから見たルーヴェンの街並み。

次はいくつかのソーシャルハウジングの見学へ。
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川沿いの旧工業地帯のようなところを再開発して集合住宅を作っているよう。

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元の用途は分からなかったが、造形が面白い。ぜひとも壊さないでコンバージョンしてほしい。

見学した集合住宅。
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ベランダが広くて机といすが置いてあるところ多数。しかしそこでくつろぐ人は見かけなかった。

今度は川沿いの集合住宅を見つつ中心街へ。
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途中、城壁跡のようなものを見つける。

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それに囲まれた丘の上には何かしらの像が…。

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猫がいると絵になる窓辺。

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街のシンボルはどこからでも見える。

川沿いを歩く。
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川に面したベランダはプライバシーもあって心地よさそう。

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またもや城壁のようなものを発見。
こういうせっかくの歴史的な断片を現代にうまく生かすことができないものだろうか。

中心街。
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バイオリンとラッパを同時に駆使するテクニカルなおじさん。

M-Museum Leuven博物館へ。設計はベルギー人建築家のStéphane Beelという人。
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大理石張りの外壁はかなりきれい。
しかしこの日は閉館。なぜこの日をスタディビジットの日に選んだのだろう…。
ガイドの人いわく、閉館の日でもこうやってエントランスやテラスに入って楽しむことができる都市に対して開かれた素晴らしい博物館らしいが言い訳がましく聞こえてしまう…。

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上部が浮いてるように見えるほど大胆にスパンを飛ばしたヴォイドがあったり、

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建物のわずかな隙間からきれいな空が見えたり、

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反射率の高いガラスに空が写り込んで一枚の絵画のようになっていたり、

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建物内外の要素のコントラストが美しかったりと。
また今度行ったときに内部にも入ってみたい。

次は中世の街並みを保存した地区へ。

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途中にさっきの見えた尖塔の正体。やはり立派。

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石と煉瓦に囲まれるという日本ではあり得ないであろう空間。
目に見えるものすべて無機的な材料だと、少ない緑と空が映える。

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趣深い。

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かなり落ち着いていてきれいないい場所なのだが、保存することになってからほとんどの建物は使われていないらしい。小さなショップなんかを入れたら有効活用できそうなのに。

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傾斜のあるいい感じの遊歩道を抜けて、

ベランダに特徴的なパターンがあしらわれた集合住宅を発見。
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すぐわきにある粗野で無骨な古い壁面との対比が面白い。


週末はブリュッセル近郊のルーヴァン・ラ・ヌーヴ(新ルーヴェン市)という街に行く。
というのも、この街には、フランス語とオランダ語の言語対立でルーヴェンカトリック大学が分裂し、そのフランス語側が移設されているのだそう。
しかし今回の訪問の目的は以前にも書いた世界的大ヒット漫画タンタンの作者、エルジェのミュージアムを訪れること。
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なぜか即席でつくられたような木の橋でアプローチ。

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エルジェ・ミュージアム。設計はフランス人建築家クリスチャン・ド・ポルザンパルク。

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主に展示室となっている4つのボリュームがいろいろなブリッジでつながれている構成。

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こんな感じで人が通るのが見える。

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展示室ボリューム間の天井はトップライトになっているので、ロビーは空が見えて明るい。

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サイドにも大開口があけられているので外部の様子が感じられる。

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美術館の展示室は展示品を保護しなければいけないこともあり閉鎖的になりがちだが、展示室から展示室へと移る間に展示室外部の様子、建築外部の様子を感じれるような楽しげなブリッジを挟むことで展示内容の切り替えが明確になるし、観賞者側の気分転換にもなっているんじゃないかと思った。

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展示内容は漫画家エルジェの生涯を作品とともに見せるというものだった。
内部は撮影禁止だったので写真が撮れないのが残念だったが、最後の展示室はタンタンの世界中言語への翻訳版が円筒状の部屋に敷き詰められていた。部屋の上下の面が鏡になっているので、各国版のタンタンの漫画にどこまでも囲まれるというような演出になっていて、いかに世界中でタンタンが愛されているかということが感じられてなかなか感動的だった。

ついでに周辺の街を歩いてみる。
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平野の中に突然つくられたきれいな新興住宅地という感じ。
とにかくこちらの郊外の家は一軒一軒がでかい。
くやしいが日本の家がウサギ小屋と揶揄されるのがわかってしまう。

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迷いながらもなんとかショッピングセンターを見つける。
まだそんなに数を見ていないので言い切れないが、こちらのショッピングセンターは街路が少し複雑だったり、自然光が取り入れられていたりと街路が面白くなるような工夫がされている気がする。
ワールドワイドなものの中にもどこか地域性のようなものが紛れ込んでいるんじゃないだろうか。

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駅周辺ではクリスマスマーケットをやっていた。
ブリュッセルもだが、クリスマスマーケットといいつつもあまりクリスマスっぽいものは多くない。

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この周辺の雰囲気は日本のニュータウンやロードサイドのショッピングセンターに似ている気がした。
閑散としていた住宅地にこんなにも人が住んでいたことにびっくり。

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模造品の木や雪で覆われた広場の中心で本物の炭を焼いていたのでかなりの違和感。
だけど冬場には暖かいというだけでそこに人が集まる。

2011-12-04

十週目(11/27-12/3)

今週は特にどこにも行かなかったので出来事を箇条書き。


○KOTパーティー
スペイン人の友人のKOTパーティーに誘ってもらう。
KOTは主に学生が住むベルギーでは一般的なアパートメント。
シャワーとトイレとキッチンは全部共用のところもあれば、どれかが個室に含まれていることもあって建物によってまちまち。
共用キッチンに20人くらい集まって飲む。
自分の住んでいるところにはないので、こういう共用部があるのは少しうらやましい。


○ベルギーで初めて終電を逃す。
授業でゲントキャンパスに来ていたのだが、隣街だし遅くまで電車はあるだろうと油断していたら駅に着いた瞬間、ブリュッセル行きの電車が電光掲示板にないことに気づく。
ブリュセル-ゲント間は高速鉄道で約30分、その間は畑や牛や馬がいる牧草地が続くため歩いて帰ることは不可能。
やむなくタクシーで帰ることにするも、このタクシーがまたやっかい。
どうやらこっちのタクシーは日本みたいなメーター制ではなく交渉制。
つまり、気を抜くとぼったくらっれる。

お金持ってないアピールをしつつ、何人かのドライバーと交渉。
相場が分からないがこれ以上は下がりそうになかったのでどうにか3人で81ユーロで手を打つことに。

こっちに来てから車に乗ったのは初めてだったが、案の定運転は荒い。
都市間をつなぐ高速道路は街灯が少ないうえに、沿道には何もないのでめちゃくちゃ暗い。
ヘッドライトの先は真っ暗で何も見えないレベル。
そんな状況のなか平均140km/hでとばすので怖すぎて生きた心地がしない。


○初めて髪を切りに行く
去年の先輩がおまかせできってもらったところマッシュルームカットにされたという話を踏まえ、安全な日本人の居る美容室を探す。見つけたのはMarianne Grayというブリュッセルのグラン・プラスの近くにある美容室。どうやら美容師さんの話によると、歴代のAUSMIPの先輩方もここにお世話になっていたようである。


○ジャパニーズパーティー
ベルギー人の日本学を学ぶ友人が隣街のルーベンでジャパニーズパーティーなるものを開いてくれる。
パーティーといえば、酒とたばことダンスミュージックにおぼれがちな中、手作りのすしを食べ、その後フルーツバスケット的なゲームをするという健全すぎるパーティー。こういうパターンもたまにはありかもしれない。

ルーベン大学の日本人学生が何人か来ていたが、ルーベンには日本人学生はけっこう多いらしい。同じく隣町のゲントにあるゲント大学にも日本人学生は多いようなのだが、まだ一度もブリュッセルで日本人学生に会ったことがない。英語の授業を受けに別の大学に通っているがここでも日本人は見かけない。
美容師の人によるとブリュッセルに住む日本人学生がよく来ると言っていたが、どこの大学にいるのだろうか。


○古本屋
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何か面白そうな本はないかと古本屋を探してみる。ブリュッセルの中心地周辺にいくつも見つけたが、さすが他言語の国だけあってフランス語、オランダ語、英語といった本が入り乱れている。面白そうな本が埋もれている気はするが、それ見つけるにはかなりの時間と根気を要しそう…。これからもちょくちょく寄ってみることにする。


○これまでに聞いた各国の印象的な話
●ベルギー
ベルギーは言語や民族による政党の対立が根深くて、つい最近まで政府がなかったらしい。ちょっと調べてみると、イラクを抜いて世界最長の無政府状態の記録を更新。それがこの前、1年半ぶりに新政権が発足したよう。
そもそも独立宣言が1830年と、建国からまだ200年たっていないというのにも驚いた。

●ポルトガル
ポルトガル語でありがとうは「obrigado」、お茶は「chá」というらしい。パン「pan」みたいにポルトガルが日本語として定着した例は聞いたことがあるが、その逆もあるというのは知らなかった。
これは江戸時代の文化交流の名残だそうで、400年たった現代でも昔の関係性の足跡が息づいているなんて少し感動的。がぜんポルトガルに親近感がわく。
同じグループで課題をやっていたポルトガル人によると、建築も日本とポルトガルは似ているんじゃないかといっていた。ポルトガル建築をよく知らないので何とも言えないが、調べてみたら面白そう。

●スペイン
スペイン人は時間にルーズという噂は聞いていたがこれは身をもって体感している。基本的に待ち合わせ時間にはいないし、1時間近く遅れてくることもある。
また、他の国の若者に比べて、鼻ピアス率が高い気がする。
スペイン語は比較的英語に近い言語らしいが、動詞の活用が7つ(ちょっと未来、もうちょっと未来、さらに未来みたいな)あって英語より難しいそう。さらに方言のようなものなのか、バスク語というのがあるらしい。聴き比べてみたが確かに全然違う印象を受けた。

●トルコ
トルコ人は名前を二つ持っているらしい。父親と母親からそれぞれもらうが、家庭での力関係上たいてい母親が強いので母親からもらった名前を使うことが多いそう。娘に自分がつけた名前を使ってもらえないお父さん、かわいそすぎます。

●ブルガリア
ブルガリア人の中にはYesで首を横に振り、Noで縦に振る人たちがいるらしい。だけど少数派でややこしいので多くの人にとっては悪しき習慣とされているらしい。
日本人のイメージ通り、ヨーグルトはおいしく、琴欧州は有名らしい。

●チェコ
なぜかチェコの大学の原子力関係の学部には北朝鮮人が多いらしい。日本にとっては恐ろしい話。

2011-11-27

九週目(11/20-11/26)

ベルギー市内にもまだ行っていないところがたくさんある。

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ストックレー邸。
ヨーゼフ・ホフマン設計でセセッションスタイルの代表作。
世界遺産にも登録されていて、インテリアもすごそうだが内部を見学できないのが残念。
こちら側の立面しか見れなかったが、大理石の外壁がうっすら屋根の色で染まっているのがいい味を出している。


実はベルギーにも凱旋門がある。
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噴水の奥に小さく見えるのがそれ。市内の東側にこの軸線が通っている。

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近くで見るとけっこう立派。

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こっちに来て初めてベルギーの国旗を見た気がする。

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凱旋門の前にはいい感じの公園がある。

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この辺にはEU関連の施設も集まっている。


ブリュッセルの中心部は今週からいよいよクリスマスモードに突入。
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クリスマスの装飾を見ようとグラン・プラスに行く道中、噂には聞いていた謎のブランドを見つける。
このブランドのコンセプトはなんなんだろう…。

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グラン・プラスはいつにも増してきれい。

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キリスト生誕の小屋が再現されている。
小屋の中には人形が置かれているのだが…

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なぜか羊だけは本物。

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他の所でも、たくさん出店が出ていたり、

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へんな飾りが浮いていたり、

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観覧車が登場していたり、

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メリーゴーランドが登場してたり、

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もちろんサンタさんも登場してたり。

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ちなみにこの観覧車、かなりのハイスピードで、かごはかなりゆらゆらしているうえにガラスとかの囲いとかはついていない。
おそらく乗ったら相当なスリルを味わえるであろう代物。

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そしてなんとスケートリンクまでもが仮設でつくられている。



次の日には前から気になっていたこのアトミウムという建物へ。
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場所は中心市街地から北に少し離れたところにあるにもかかわらず、市街地からも見ることができるというかなりの大きさ。

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やっぱりでかい。そして形が異様すぎる。

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なんとこの球体の中に入れるというのだからわくわくが止まらない。入口は足元にあるこれ。

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エレベータで一気に一番上の展望台へ。

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こんな感じでブリュッセルを一望できる。そういえばブリュッセルで高いところに上ったのは初めて。

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展望台の上はレストランになっていたものの料理は高すぎて手は出せず…。

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他の球体は展示室になっている。
ここだけなぜか遊園地的なライティング。

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そもそもこのへんな建物は何なのかというと、1958年に行われたブリュッセル万国博覧会のパビリオンだそう。
テーマは「科学文明とヒューマニズム」。コルビジュエのフィリップス館があったり、日本館は前川國男が設計していたりしたらしい。
大阪万博やこないだの上海万博を見ても思ったけど、万博建築が放つエネルギーみたいなものはすさまじい。
なにかおもしろいことをやってやろうっていう設計者の強い思いがダイレクトに出ている感じがする。

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球体同士は階段やエスカレータでつながっている。

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別の展示室。ここは思いっきり球体感が出ている空間。

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人形とともに展示されていたアトミウムの図面。
当時の施工映像も流されていたが、こんな複雑そうなものを当時の技術で作り上げたことにただただ驚く。