ブリュッセルMIDI駅で毎週日曜に開催される市場に行ってみる。
これが…
こうなる。
平日には閑散とした広場がこんなににぎやかに。
この市場では服、食品、日用品といった近隣住人の生活必需品が売られている。
観光者向けの商品や物珍しいものはほとんどないので面白くはないが、観光地的なにぎわいではなく、地元住人によるリアルな都市のにぎわいが感じられる。
ここに来れば何でも手に入る青空スーパーマーケットという雰囲気。
このMIDI駅周辺、この市場もそうだがなかなか活発なエリアのように思える。街路を歩いている人は多いし、小さな公園や広場も多く、よく利用されている。
ただ、駅の直近のエリアだけが閑散としているといった印象。
地元の活発性と国際駅としての活発性の関係をどのように扱うかというのが提案のカギになりそう。
とはいえ、今週はスタジオが休みでヒマだったのでブルージュに行ってみる。
ブルージュはベルギーの水の都と言われ、その街並みは世界遺産にも登録されている。
ブリュッセルから国鉄で約1時間。
駅は市街地から離れたところにあって、こんな感じの川を渡って市街地へと向かう。
ブルージュは観光地ではあるがブリュッセルと比べて人が少なく、静かで落ち着いた雰囲気。
街並みや建物はより中世的な感じ。そして何よりゴミがあまり落ちていなくて圧倒的にきれい。
街中を馬車が走るも、京都を走る人力車と違って時代錯誤感がなく、全く違和感がない。
馬の蹄が石畳をたたく音が街並みととんでもなく調和している。
そして馬車馬を始めて間近で見たがフォルムがめちゃくちゃかっこいい。
街中の運河ではボートツアーが催されている。
教会のシンボリックな尖塔が街並みが単調になるのを防いでいることに気づく。
市街地の中心部マルクト広場にある鐘楼。
せっかくの中心的な広場なのに車とフェンスで台無し。一番気を使わなくちゃいけないとこじゃないの?
そしてこの鐘楼はてっぺんの鐘つき台まで登れる。
たくさんの鐘が複雑なからくりで音を奏でる。
この鐘の演奏はブルージュ名物らしく、周辺では鐘の音が頻繁に聞こえる。
さっきの馬の蹄の音やストリートミュージシャンもそうだが、音は都市の雰囲気を決める重要な要素だなと思う。
地平線が見える。赤い屋根のつらなりがこれまた中世っぽい。
マルクト広場の隣にあるブルグ広場。ここには市庁舎や公文書館が隣接している。
ちょうど市が出ていてにぎわっていた。
で、そのにぎわいの片隅でひっそりとたたずむのが…
ブルージュ・パビリオン。
これを見るためにブルージュに来たといっても過言ではないが…
残念すぎる…。
何でこんなことになってしまったんだろうという残念さ。この市場に人が集う中で誰からも相手にされてない感じが寂しすぎる。
もとあった水盤がなくなっていたり、なぜかアクリルで覆われていたりといったがっかり要因はいくつかあるもののもうちょっといい場所にできるでしょ…。
機能がなくて、くぐることしかできないのも問題かも。
影はきれいだけど構造の汚れが気になる…。
気を取り直して城壁跡へ。
途中、川へ部屋が張り出している家を見つける。
水の都というくらいだから、こんな風に川に積極的にかかわっているような建物が多いのかなと思いきや、そこまで多くは見かけない。
川沿いのカフェみたいなものや、川沿いの心地よい空間も街中では少なく、どうも人と川とがいい関係を築いているようには思えない。
城壁跡は公園や遊歩道になっている。
きれいな芝生広場に風車が2基ある。
この川べりの遊歩道は水が近くていい感じ。
こんな感じの遊歩道が街をぐるっと囲んでいる。
風車近くのこの渋すぎるたたずまいの建物へ。
ここはベルギー人の詩人のギド・ゲゼルという人の生家らしい。
ストリート側の無表情さと打って変わって中は豊かな庭になっていて、建物の開口もこちら側にたくさん設けられているというなかなかのギャップ。
建物の中は博物館になっているものの、フランス語とオランダ語のみ、さらに展示されているものは詩ということで全くわからず…。
遊歩道に戻る。
河口には金持ちの道楽としか思えない船が多数。
再び市街地へ。
街全体が観光地的な雰囲気かと思いきや、こんな感じで地元住民が住んでいるようなふつうの場所も多い。
紅葉と落ち葉と街のコラボレーションが半端じゃなくきれいな街並みを生んでいる。
こちらはベギン会修道院
質素さを生活の基本としていた修道会の精神を表すような空間。
多すぎもせず少なすぎもしない絶妙な木の密度。
木立に対する建物の立ち振る舞いがとても謙虚。
ブルージュの美しさは、建物や街並みの人為的な美しさじゃなくて、川と植物と建物が絶妙なバランスで作るランドスケープの美しさなんじゃないかと思う。
建物はあくまでこのランドスケープの一部でしかなく、それゆえ建物単体として他との強い差異を持った面白いと思えるものが少ないし、それは必要ではないのかもしれない。
ブルージュパビリオンのような現代的でバランスから突出した要素を持ちこむのは、化石のような中世の街を少し進化させるのに重要なことだと思うが、そうするのならばこのバランスをうまく調節する操作を挟まなければうまくいかない気がする。
今週の金曜からはAUSMIPの留学生とベルギー人の学生の「郊外」をテーマにしたワークショップが始まる。
ということで初のセントルーカスのゲントキャンパスへ。
担当はAUSMIPベルギー世話役のブルーノ先生で、日本の郊外とベルギーの郊外を比較して新たな郊外の可能性を探りたいというような感じのことっぽい。
スタジオミーティングがあってゲントの街を散策できなかったのでまたゆっくり見に来たい。
ゲントにも運河がたくさんあって、夜の街はかなりきれい。
最後に、週末は坂本龍一のベルギー講演を見に行く。
完全ににわかファンだったが、予習のかいあって楽しめる。
ベタだがやっぱり生の"Merry Christmas Mr. Lawrence"は鳥肌もの。
こんな立派なホール。
Merry Christmas Mr. Lawrenceのイントロが始まった瞬間に会場から一斉に拍手が起きたり、あちこちで感極まった人が奇声を上げていたり、アンコールが3回あったりとベルギーでの坂本さんの人気は絶大。
坂本さんの素晴らしい演奏とそんな自由な観客たちとのおかげでかなり一体感のあるコンサートでした。
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