2日目午後
次も大英博物館の近くにあるロンドンの建築博物館、New London Architectureへ。
中にはロンドンの巨大な都市模型、ロンドンの都市計画の変遷を説明するパネルなどが。
特に2012年のロンドンオリンピックへ向けてのコンペや計画案の紹介があって、ハウジングやトランスポーテーションなどの多くのプロジェクトが進行中のよう。
オリンピック後にはかなり見どころが増えていそうだし、街の様子も変わっていそうなのでまた来たい。
世界中の主要な都市には必ずと言っていいほど巨大な都市模型があって、ないのは東京くらいだという話を聞いたのを思い出す。確かにパリや上海には建築・都市博物館まであるのに東京にはない。
日本と海外での建築や都市に対する認識の違いが表れているような気がする。
パリにもいたが、ロンドンでも地下鉄構内で公認のストリートミュージシャンが演奏をしている。
地下だから音の響きもいいし、その音楽は殺伐としてつまらない地下鉄の空間を豊かにしている。
公認だから演奏もかなりハイレベルだし、こういう人たちには感謝の意味を込めて小銭を寄付してもいいかなと思う。
ジャン・ヌーベルによるOne New Changeというショッピングモール。
さすがガラスの魔術師の異名を持つだけあって素晴らしく美しいアプローチ。
そしてこのアプローチ、都市を引き込むような造形になっていて、ふりかえるとセント・ポール寺院に向けて開かれている。グラウンドレベルでは十字型に街路がとられているのでショッピングモールの中を通り抜けて街区を横切れるような構成になっているのでかなり都市との接続性が高い建築といえる。One New Changeというたいそうな名前にふさわしいのがすごい。
歩いていると偶然美しいパサージュに出くわすことが多い。日本のアーケードもこれくらいのクオリティがあれば大規模ショッピングモールに負けないのかもしれない。
どうせなのでリチャード。ロジャース設計のロイズ・オブ・ロンドンを見に行く。
銀色のメカニカルな建築が街中にいきなりあらわれて、異様さはパリのポンピドゥーセンター以上。
本当に機械的なこの色が原因なのか、それとも美術館のような周りとは違った建て方をされていないからなのか…。
建設年が1986年と今から約25年前にこれが建ったなんて当時は相当な衝撃だったんだろうな。
振り返ると、ロンドンのどこからでも見えるこのビル。
ノーマン・フォスター設計の30セント・メリー・アクス。
足元はこんな感じ。
離れてみるとシュッとしていてかなりの高さがあるように見えるこのビルは、近くで見ると丸みを帯びているせいかずんぐりむっくりしていてあまり高さを感じなかったのが意外。
2日目最後は今回の旅の目的であるBarbican CentreでのOMAの展覧会を見て締める。
この展示、その情報量とそれをつくりだすためのエネルギーに圧倒される。
OMA事務所のハードディスク内の全てのイメージに一瞬でも目を通すためには最低でも48時間かかるらしい。
見たことのあるコラージュやダイアグラムなどが展示されていたが、本当にOMAのプレゼンテーションはわかりやすくてインパクトがある。だからこそ多くの人に真似されてOMA調のプレゼンテーションが建築界に溢れているのだろうと思った。
すっかり暗くなる。アーティストの名前は忘れたが中庭にあった人型の光が動く作品。
3日目
港湾や倉庫跡地であるドックランズ地域のカナリーワーフという再開発地区周辺を見に行く。
目的は再開発地域見学だったが、最初に降りた駅がグリニッジというどこかで聞いたような名前。
どうやらあの世界標準時を決める子午線が通るグリニッジ天文台があるところのよう。
せっかくなので寄り道。
大きな公園の中の小高い丘にあるのがグリニッジ天文台。
この公園と周辺の博物館などの建物群すべてが世界遺産らしい。
丘を登ると、公園や宮殿、ロンドン市街地が一望できる。
手前の列柱廊を持つ建築はイギリス最初の建築家といわれているイニゴ・ジョーンズ設計のクイーンズハウス。
奥に見える2つの塔をもつ海軍学校はクリストファー・レンによる設計らしい。
昨日の都市模型を見ても思ったがロンドンには高層ビルがけっこうあるものの、一か所に高密度にまとまってつくられていてそのグループが点在しているといった感じ。
天文台は観測の正確性や利便性を高めるためにいくつかの建物を増築したらしいが、その中でも一番古いのがこれ。この増築は、館長が変わるごとに観測点を変えていたことによるもので、それに伴って子午線の位置も変わっていたというから驚き。
屋根の上の赤い玉は午後1時になると上昇し、テムズ川を通る船に時間を知らせる役割があるらしい。
経度0のライン。
そしてそこに立つ。緯度順に世界中の都市の名前が刻まれている。
クイーンズハウスの列柱廊。良い天気に映えて美しい。
列柱ごしの天文台。
寄り道にかなりの時間を使ったがバスで本来の目的地である集合住宅の集まるWest Parkside地区へ。
低層のテラスハウスや、
中・高層の集合住宅が集まって計画されている。
ファサードでは色々なマテリアルや色が組み合わされている。
特に外壁に木板が多用されていて、鉄の庇やパルコニーと共存しているのはあまり見たことがない。
計画途中なのか、数街区の集合住宅群以外には何もなく、その街区内でさえもあまり人の気配がなくて寂しい感じ。
すぐ近くにリチャード・ロジャース設計のミレニアム・ドームがあったので行ってみる。
このドーム、グリニッジ天文台の丘の上からも見えていたのだが、柱が突き出たこの形はだいぶ気持ち悪い。
近くに来てみるとそうでもないのかなと思っていたがやっぱり気持ち悪い。
しかし、中に入ってみるとドームに覆われた大規模な空間は意外といい。
中心のアリーナを囲うように飲食店などのショップが並ぶストリートが作られていて、アリーナでライブなんかがあったときにはかなりにぎわいそうな感じがする。
屋根から突き出ていた柱は店内にも現れる。
テムズ川沿いへ。
タワー・ブリッジ。
なぜ鉄骨の塗装が青なんだろう。趣もなければ美しくもないし周囲と調和しているとも思えない…。
フォスター設計のロンドン市庁舎。思っていたより小さい。休日で中には入れなかったのが残念。
ロンドンでの重要施設や目立つ建築はフォスターかロジャースによるものがかなり多い。
今回実際に来てみて、ロンドンにおける両者の絶大な影響力を実感。
この近くにある再開発地区バトラーズ・ワーフ。
ここは荒廃した倉庫群だったところをテレンス・コンラン卿が主導し、倉庫を飲食店やオフィス、集合住宅にコンバージョンしたらしい。
街路の上部を横切る複数のブリッジは面白いし、建物自体も元々倉庫だったとは思えないくらいのハイクオリティ。まさにコンバージョンをするにはうってつけの建物という感じ。
ブリッジには自転車やちょっとした植物が置いてあったりしてバルコニーのように使われているよう。
リバーサイドで眺めもいいという好立地なのでかなり家賃が上がっているらしい。大成功の再開発といえるのではないか。
帰りのバスまで市内を散策。
ウェストミンスター宮殿の時計塔、ビッグ・ベン。
宮殿自体もかなり立派な装飾が施された建築だったが、なんといってもこの時計塔が美しすぎる。
ライトアップがその美しさを際立たせていて、本当に夜に来て良かった。
ピーターパンを見ていたからか相当大きいイメージがあったがそこまででもなかったのが意外。
赤じゅうたんの敷かれたパサージュ。さすがにここのショップは超高級ブランドばかり。
ハリーポッターの舞台ともなったキングス・クロス駅。
実際に映画の撮影に使われたのは4番線と5番線らしい。
ロンドンオリンピックに向けて駅舎が工事中だったからなのか、9と3/4番線はプラットホームとは全然関係ないところにあったのが残念。
帰宅。
イギリス―ブリュッセルの移動ではドーバー海峡を渡らなくてはいけないが、バスの場合、列車に積み込まれて地下トンネルを運ばれるパターンとフェリーで運ばれるパターンがあるよう。行きはトンネルだったが、帰りはフェリー。トンネルの方が時間は早いが、フェリーの方が外の様子がわかるし、海峡を渡ってる感が味わえて楽しい。
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