オーロラを見ようとフィンランドへ。
夜遅くにヘルシンキへ到着。
雪深い、そして寒い…。
次の日は早朝から近郊の街ユヴァスキュラへ。
ユヴァスキュラはフィンランドを代表する建築家、アルヴァ・アアルトが幼少時代を過ごし、建築家としてのキャリアをスタートさせた場所。
初期の作品から、その後、世界的に有名になってから凱旋して設計した作品まで多くの作品が残されている。
今回の旅ではアアルト作品をたくさん見たので、まとめて別の記事で。
日本でもあまり北国へ行ったことがないので、雪国ならではの光景は新鮮。
寒さが厳しいからかバルコニーに覆いがよく付いている。
ふらりと立ち寄った教会。
近代的な教会だったがガラスはステンドグラスでなかなかいい感じ。
つららが半端じゃない。
雨樋も凍って機能していない。
雪が異常にサラサラなため風が吹くと舞い上がり、それが太陽の光に照らされると空気がキラキラ光って見える。
銀世界という言葉があるが、確かにこの現象にピッタリ。
雪化粧された枯れ木。
地上階はレンガでその上はペンキ塗りの木造。地上階は雪が積もるからだろうか。
アアルト設計の市庁舎に泊まるため市街地から離れた所へバスで移動。
サイナッツァロの役場。まさか本で見たこともある巨匠の建築に泊まることができるとは。
山中で特にすることもないので周囲を散策に。
月がちょうど満月でかなりきれい。
広大で何もない開けたところへとたどり着く。
かなりでかい湖が完全に凍っている。こんな光景初めてみる。
最初はビビっていたが、氷の上にのっても全く問題なく、パラシュートみたいなものを付けて氷の上を滑っている集団もいる。
緯度が高いため日暮れはかなり早い。
掘ってみたら氷の上にも深く雪が積もってる。
市街地へと戻り、いくつかアアルト建築を見てヘルシンキへ。
こんな雪と氷の世界でも多くの人が自転車を利用している。
タイヤが太く感じるが、滑らないような特別なものなのだろうか。
ヘルシンキ駅。エリエル・サーリネンの設計でかなり立派な駅舎。
ホステルのあるスオメンリンナ要塞へフェリーで移動。
湖どころか海が凍っている。想像を絶する寒さ。
フェリーがバリバリと氷を砕く音が聞こえてくる。陸は見えていても沈没したら絶対助かる気がしない…。
スオメンリンナ要塞は6つの島からなる海防要塞で、世界遺産にも登録されている。
散策してみるもほぼ雪に埋もれていて様子がよくわからない…。
島の沿岸にはいくつかの砲門も残されている。
ここから見える凍った海の景色はどこまでも歩いていけるような気がしてけっこう迫力がある。
貯蔵庫のようなものの遺跡も。
ヘルシンキ市内へと再びフェリーに。
明るくなって大きな氷の塊がたくさん浮いていることがわかる。
港の高台に建つギリシャ正教のウスペンキ寺院。
ドームの頂上に乗っかった金色のキューポラが特徴的。
メインの建物と入口の建物が分かれていて、それらを階段がつないでいるという構成。
装飾は金色が目立ち豪華。
ヘルシンキ大聖堂は雪に負けない美しい白さ。
前面には雪がなかったら多くの人が座っていそうな大階段。
スオマライネン兄弟によるテンペリアウキオ教会。
岩をくりぬいて作られた教会で、インテリアとして岩がむき出し。
スピーカーで教会っぽい音楽が流れているものの、教会というよりは劇場のような雰囲気がある。実際、ここでコンサートが行われることもあるらしい。エントランスの扉や2階席の構造物に用いられていた銅板のような素材が荒々しい岩石と好対照で面白い。
屋根の上に上ることもできるが、雪に覆われていてデザインなどはよくわからず。
地下鉄駅に付属する駅ビル。この近くに都市計画展示場があって、将来のヘルシンキのエリア別計画のような展示はしていたものの、期待していたヘルシンキの都市模型はなかった。
中央駅近辺へ。
LPR Architectsによるミュージックセンター。
コンサートホールの周りを動線が囲み、レストランやカフェが並んでる。全面ガラス張りですぐ外には道路が通っていて人が歩いているので、雪がなかったら建物内外の区別がつかなそう。
ホールの中もガラス張りになっていて、少し見えるようになっている。
商業施設兼オフィス。こちらもガラス張りで透過性が高い。
内部は最上階まで吹き抜けでいくつかブリッジが渡されている。東京で見たことがあるようなビル。
立派なネオクラシシズムの国会議事堂。
スティーブン・ホールによる現代美術館キアズマ。
エントランスホールからは2階へと延びる長い曲線的な動線。
ところどころ開口から国会議事堂などの重要な周辺施設が見える。
エントランスは真鍮のような素材が使われていて、どこかアアルトのエントランスのような感じがしたが意図的なデザインなのだろうか。
駅前付近はカラフルにライトアップ。
フィンランド国鉄のロゴ。JRのロゴに似ている気がするが何か関係があるのだろうか。
港の近くには道路に沿った大きな公園がある。
翌朝、ついにオーロラの地、ロヴァニエミへ。
さらに北上し、まさに氷の世界。
木も雪に覆われる。
ロヴァニエミの市街地へ向かう前にサンタクロースビレッジへ寄る。
サンタクロースが待ち受けていることを期待していたが、ただのショッピングセンター感はある…。
トナカイですら寒そう。
雪が結晶のまま降ってきていることに気づき驚く。
このサンタクロースビレッジは北極圏のほぼ境界線にあり、北緯66度。
ということで昼でも太陽の高度がかなり低い。
ロヴァニエミ市街地。街中の温度計には-14℃という経験したことのない気温が…。
ただ、-30℃という前評判もあったので少し安心。
世界最北端のマック。
この街にはサブウェイもあったが、大体のチェーン店が世界最北端じゃないだろうか。
この日の夜は曇りだったがオーロラツアーが催行されることに。
山中の凍った湖が観測ポイントで、オーロラが出るまでこの小屋でフィンランドのお菓子や飲物をいただく。
ただ、待てども晴れることはなく、オーロラは見えない。
ちょっと空が明るいと期待を持つも、高速道路と自動車試験場の明かりが空を覆う雲を照らしているだけで、オーロラを見るためには見えてはいけない光らしい。
そして結局見えず…。
オーロラチャンスが訪れる夜までは特にやることもないので市内の博物館やアアルト建築を見て周る。
ロヴァニエミのあるラップランド地方の民俗博物館のようなところ、Arktikum。
気になったのでふらっと立ち寄った建物。
林業用の巨大な重機が展示されていたり、木材の加工品が売っていたりしていたので、おそらくフィンランド林業の紹介施設か何か。研究個室があったり、レクチャーホールではレクチャーが行われていたり。
かなりの梁せいのある木梁。さすが林業を紹介しているだけあって、かなり大きな建物だが木造でできているっぽい。
土産屋でも売っていたので驚いていたが、ここではトナカイ肉を食べるらしい。
くさみはあるものの普通においしい。
そして、結局残りの2日とも晴れる確率0の曇りや雪でオーロラツアーすら催行されず。
オーロラが見えるかというのは本当に運次第らしいが、今回は機会に恵まれなかった…。
死ぬまでに一度は見てみたいので、いつかまたどこかで挑戦したい。
ロヴァニエミは小さい街ゆえ、夜にヘルシンキへと戻る最終日、ついにやることがなくなる。
高額なアクティビティ―に手が出るはずもなく、スキーに落ち着く。
雪がサラサラで滑りやすい。
その後、フィンランド式サウナへ向かう。
フィンランド式サウナは室内に熱々の岩が置いてあり、そこにひしゃくで水をかけることによって湿度を調整する。ペースが全く分からず脱水症状に陥りかけるも、何とか回復しヘルシンキへと戻る。
ヘルシンキ空港で初の空港泊を経験し、午後のフライトまで再びヘルシンキ市内を散策。
空港のスーパーマーケットにあったペットボトル回収マシーン。
北欧はエコ大国というイメージがあるが、ペットボトル飲料の値段には、あらかじめ容器のデポジットが含まれており、ちゃんと容器をこの機械に返すことによって数十セントのデポジットが戻ってくる。
デポジットだが、ペットボトルを捨てただけでお金が戻ってくるというのはなんだか得した気分になる。
市内から少し離れたアアルト大学へ。
アアルト大学は元々ヘルシンキ(オタニエミ)工科大学という名前だったが、いくつかの大学と統合される際にアアルトがキャンパスをデザインしたことにちなんで名前が変わったらしい。
アアルトデザインのキャンパスを見て、最後に学生寮の集まる場所に建つ教会を目指す。
カイヤ&へイッキ・シレンによるオタニエミの礼拝堂。
外観が工事でおおわれているのが残念。
レンガと木材架構でとてもすっきりとした空間。十字架は屋外に設置されていて、このアイデアは安藤忠雄の水の教会の参考にされたなんて噂もあるくらい。
このアングルからは十字架は4つに分割された窓の中央に位置しているように見えるが、実は真正面から見ると中央より左側に寄っている。十字架の背後は斜面かつ木が生えているため、十字架を外壁からセットバックするには限界がある。設計者はそれを考慮して、入口から入って来たときに室内全体を斜めに見渡せるこのアングルを重視して、十字架が最も美しく見えるようにデザインしたのだろうか。
ヘルシンキ駅まで戻り空港へ。
駅前ビルにはロゴや広告が多く、割とガチャガチャしている。
市内にはトラムが走っていてかなり移動はしやすい。さらに街中でも無料WIFIがとんでいてかなり便利。
2月のヘルシンキはかなりの雪が残っているし、さらに日も短く、吹雪くこともあったので、都市や人々の様子が分かりにくい。碁盤の目状に整然と区画された街区も殺伐として寂しい印象しか受けなかった。だけど、森と湖の国といわれるくらいなので夏に来たらまた全く違う表情の都市なんだろうなという印象もあって、夏にまた来たいと思った。
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