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2012-02-29

ドイツ ―復路― (2012/2/29-2012/3/2)


ミュンヘンから建築を見つつブリュッセルへと帰る。

アリアンツ・アリーナ(ヘルツォーク&ド・ムロン)
近くで見たらひし形のファサードは下半分が半透明で客席の構造物が見える。

BMWウェルト(コープ・ヒンメルブラウ)
かなりの大胆な造形。

中はBMWの展示場。大空間に浮かぶブリッジが印象的。
バイクが建物内を縦横無尽に走り回るパフォーマンスに遭遇。

ねじれた構造物には周囲の景色が映り込みきれい。

いろんな高さに車があったり、人がいたり、部屋が見えたりしてかなり立体的な空間。


BMW本社&ミュージアム (カール・シュヴァンツァー)
ミュージアムの内部は車も展示室もかっこいい。

ミュンヘンオリンピック競技場(ギュンター・ベーニッシュ&フライ・オットー)


スタジアムは見れなかったので、屋内水泳場を見てみる。
市民プールみたいな感じで普通に泳いでる人がたくさんいた。

Academy of fine arts (コープ・ヒンメルブラウ)
ミュンヘン市内にある大学。


飛び出たボリュームの下はカフェから続くデッキになっていて学生たちがたむろ。

内部のアトリウムはかなり大胆。大空間に複数のブリッジが交錯する空間はやっぱり面白い。

アトリウムを囲むように教室が配置され、ブリッジで対面の違う階に行ける。このブリッジ渡る体験はなかなか楽しい。

屋上にアトリエがあるなんてかなり贅沢。


Museum Brandhorst (Sauerbruch Hutton Architects)

ファサードにカラフルで細長い鉄材が取り付けられている。

PINAKOTHEK DER MODERNE (Stephan Braunfels)
現代美術やデザインのミュージアム。


このアトリウムを中心に各展示室へと向かう。


展示品を見に行ったのが、建築も意外と面白かった。

外部に並んだかなりの高さのあるピロティがカフェ内部にも表れている。不思議なスケール感のあるいい感じのカフェ。


FIve Courtyards (ヘルツォーク&ド・ムロン)

街区のストリートに面する部分はそのままにして、中庭とそこへの通路をデザインするという面白い事例。


中庭には無数のツタが垂れ下がる。





通路もそれぞれ全く異なるデザイン。



再び街を散策。
広場に面して建つ立派な建物だが、何なのかはよく分からず。

ミュンヘン市庁舎の近くにある市場。ここの市場には作りつけの小屋がいくつも建てられている。日中はテーブルとベンチも設置されて屋外フードコートのようになっていてにぎわっていた。


少し中心地から離れて、MDRDVがマスタープランを手掛けたウンターフェリングのビジネス・パークへ。

スイスReオフィス
このオフィスは建物のボコボコとしたボリューム群が帯状のファサードで囲われている。


ファサードにはツタが巻きついている。まだ寒かったので葉っぱが付いていなかったが、夏になるとかなり面白いことになりそう。

飛び出たボリュームの下にはベンチなどがあって人がくつろげるようなところになっている。緑のツタが生い茂る夏の日にちょっとここで仕事の合間に休憩なんてできたらかなり気持ち良さそう。

色々なファサードを持つオフィスエリア
低層に大きな開口があって街路に面していると人が働いている風景が見れていい。


地面も特徴的だが

中心地に戻りミュンヘン最後の夜を過ごす。マリエン広場と市庁舎。

シュツットガルトへ移動。駅のすぐ近くに大きな公園。ただ、駅前に大きな道路が通っていて繁華街とこの公園へのアクセスが悪い。
ステート・ギャラリー(ジェームズ・スターリング)
完全なポストモダニズム建築。日本にいるときは古典的な建築のヴォキャブラリー借用するポストモダニズムの手法はテーマパーク的な感じが強くて気持ち悪い気がしていたし、特によく見ていたつくばセンタービルは周囲の環境から浮きに浮いていて、人々がそこに生き生きといるのをあまり感じたことがなかった。だけどこの美術館のように、古典建築が数多く街中に残り、街並みも中世からの雰囲気が少なからず残るヨーロッパの都市の文脈においては一つの現代建築の表現手法としてあり得るのではないかと感じた。
外観にもカラフルな色が使われているが、内部の方がもっとカラフルで現代的な素材ばかり。

スターリングホールというホールがあるらしい。海外の建築は建築家の名前をつけた場所を持つことが本当に多い。

円形の中庭。



屋外も展示スペースとなっている。


この中庭、美術館の中からしか入れない動線と、前面道路から裏通りに通れる動線が分けられている。美術館の中心的な空間に、美術館に訪れた人、都市をいきかう人と違った目的を持つ人々両方を絡ませるのは面白い。
裏通り。


郊外へと向かい、ヴァイセンホフ・ジードルングの住宅展示場へ。ミース・ファン・デル・ロ-エによる集合住宅。

ル・コルビジュエによる集合住宅。
内部はこの住宅地全体に関するミュージアムになっている。



やはりこの光と白さの相性は抜群。
この住宅もコルビジュエの近代建築五原則にのっとっており、2年前に行ったサヴォワ邸を思い出す


屋上庭園といってもを全てを空へと解放するのではなく、ある程度屋根を残すのがいい。

さすがコルビジュエだけあって、住宅地の中でも最も眺めのいい敷地を与えられている。

サヴォワ邸に行った時も感じたが、廊下が狭い。

今は文化遺産として建設当時に近い状態で保存されているが、近年までこの住宅は住み手によってプランが改変され、住み手が去ってからは放置され、ボロボロの状況だったらしい。革新的な建築ではあるが当時の人の生活や常識からすれば住みにくかったのかもしれない。
J・J・Pアウトによる集合住宅。他にも多くの建築家の作品で住宅地が形成されている。

ここまで多様な白いボリュームによる作品が集められるとそれはそれで住宅地として面白い風景。

再び市街地へ。中心街のシュロス広場この広場は王宮やコロネードを持つ立派な建物に囲まれているだけではなく、さらに遠景に見える山々にも囲われており、とても居心地がいい。山の斜面は建物で覆われており、街全体がこの広場へと向かっているような感じがして本当に街の中心という感じがする。KUNSTMUSEUM (Hascher Jehle Architektur)
この広場に面して建つガラス張りの美術館。

広場側に階段室がもってこられていて、最上階にはレストラン。

階段室は内部の展示室とは別物で単調だったが透明感があって眺めはいい。

駅正面からのびるストリートもこの広場へと続く。
またも電車で少し離れたところまで移動。

メルセデス・ベンツミュージアム(UNスタジオ)この大胆な造形の内部は二重螺旋状になっている。


エントランスから色々傾いている。

SF映画の宇宙船のようなエレベーターで最上階へ。この最上階までの吹き抜けのコンクリートがむき出しの曲線的な造形はかなり迫力がある。

二重螺旋の片方は暗めのゴージャスな感じの空間。

もう片方は透明感のある光あふれる空間。展示内容もそれぞれでテーマが違う。

この建物の隣にはVfBシュトゥットガルトの本拠地メルセデスベンツアリーナとその練習場があって、練習風景が見える。

ベンツの遊園地。車好きにはたまらないんだろう。

複雑な構造だとそこに差し込む光と影も複雑になって美しい。



フランクフルトへ移動。往路では中継地点として泊まっただけだが、今度は街もしっかり見てみる。
街の構造は今まで行った都市の中でも見たことがないもので、昔の城壁跡が全て緑地になっていて、その中でも中央駅と旧市街地の間の部分に超高層ビルが林立している。


コメルツ・バンクタワー(ノーマン・フォスター)
夜に見たら上下のオフィス間に設けられたスカイガーデンが光っていた。

ロビー。

なんでこんな時間に窓掃除と思ったら人形。なかなかしゃれている。


マイン川沿いへと向かう。この都市の名所はこのマイン川沿いであると確信する。

川に沿って遊歩道がきれいに整備されており、散歩している人やランニングしている人、昼はベンチに座って本を読んでいる人などアクティビティ―であふれている。多くのミュージアムもこの川沿いに並べられており、川沿いの空間がとても大切にされている感じがする。


翌日は旧市街地へ。すごい霧。旧市街地の大聖堂がかすんで見える。
大聖堂。

大聖堂前のローマ遺跡。

ちょっと裏通りに入ると面白いファサードが集まる中庭のような空間に。

欧州中央銀行前のモニュメント。よく見るとけっこうな数のホームレスのような人々のテントがあって、なにかの抗議をしているよう看板があちこちにたくさんある。
MUSEUM OF APPLIED ART(リチャード・マイヤー)マイン川沿いにある美術館のうちの一つ。

付属の公園もマイヤーによるデザイン。

残念なことに外観は工事中。

白さ、水平垂直線、大小の連続する四角形といかにものマイヤー建築。


特徴は連続するスロープによる縦動線。ただ、移動距離が長いので1階分のぼっただけで上り下りするのがだるくなる…。

まさかこんなところで永ちゃんに遭遇するとは。というのも最近の日本のデザインに関する展示をやっていて、これはCM作品の中の一つ。


これまた川沿いにある建築博物館へ。WOHAというシンガポールをベースとする建築家ユニットの作品展示をやっていた。ドローイングがダイヤグラム的説明とスケッチの間のよう表現でいい感じ。木やツタなどの緑と一体化したような超高層ビルのプロジェクトが多い。まだアンビルトのものばかりのようだが、もしパースがそのまま実現したら緑あふれる楽園のような世界。

大規模プロジェクトの模型は単調になりがちな気がするが、細かく作っていたり、うまく緑を置いていたりして面白い。
ケルンへ移動。
コロンバ美術館(ピーター・ズントー)往路でも来てみたが閉まっていて中には入れなかったのでもう一度行ってみる。


この美術館はローマの遺跡の上にかぶさるように作られている。遺跡の展示室にはレンガをずらして作られた外壁の隙間からやわらかい自然光が差しこんできている。古代遺跡を見せるというよりは、遺跡もこの新しく作られた美しい空間の一構成要素という感じがする。神秘的で素晴らしい空間。ただ単に遺跡を見せるよりはこういう手法の方が遺跡が現代的なものとしてもう一度生き帰ったような感じがしていい。

アート作品と遺跡とずらしたレンガ積みの外壁。

2階は雰囲気が変わり、光を抑えた美術品の展示室。

メインの動線から外れた部屋への入り口には違った素材を使ったり、段差をつけたりと細かいデザイン。

そうして入った部屋はまた少し雰囲気が違う。

3階へ。壁と床の取り合い部分には隙間がつくられていて、部屋の輪郭をはっきりさせたり、細長い空間では先へと導くような効果。

この部屋だけ素材や照明などが違い、全く雰囲気が違う。
3階は外部に向けて大きく開かれた開口のある場所がいくつかあり、薄暗い建物中心部に光のグラデーションをもたらす。暗い空間の先には光が見えて、そこまで行くと都市への眺望が開けるというのは劇的だが、窓からの眺望があまりいいものではないのが残念。


同じことをハイサイドライトでもやっている。

ケルン駅から大聖堂、この美術館にかけては車の往来も激しくとても美しい環境とは言えないが、そんな中でも古代の遺構をうまく生かし、さらにここまで美しい空間が作れるのかという素晴らしい建築。


今回のドイツ旅行最後の地、アーヘンへ。ケルン駅の屋根。
バスシェルター(ピーター・アイゼンマン)アーヘン中心街の広場にあるがいかつすぎて浮きに浮いている。
広場からは大聖堂が見える。

大聖堂周辺にはショップの並ぶスケール感の小さなストリート。

アーヘン大聖堂
思っていたよりも小さな大聖堂だが装飾はとても華美。

装飾は幾何学的なものや植物をモチーフとしたものとした平面的なものが中心で、大理石の模様や色も大きな構成要素。

青さの美しいステンドグラス。
そしてリエージュを経由しブリュッセルへ。

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